読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

のんびり寄り道人生

何とかなるでしょ。のんびり生きましょう

関西弁で怒ってみた

 深夜1時近くになっても上階の生活音が止まない。。上階には若い男子学生が住んでいる。明日の弁当の下ごしらえでもしているのか、水道の蛇口を開けたり閉めたり、実に”まめまめしく”動いている。

「ほんま、ええ加減にせえよ…」ようやく眠りに落ちかけていたが、すっかり目が覚めてしまった。『もう一度アパートの管理会社に連絡しようかなぁ?』『度々だとクレーマー扱いされるかな?』今後の対応について冷静に考えた。

 借りている部屋はフローリングの床に天井がかなり高く、ロフトまでついている。だから音が響くのは構造的に仕方ないのだが、壁の薄さのせいでトイレやシャワーの水流音、扉を開け閉めする音、床を歩く音、テレビの音、会話など、ほとんど全てがまる聞こえだ。アパートの設備自体は新しく、デザインも洗練されている。なのに家賃は相場よりかなり安い(たぶん学生寮より安い)。契約を決めた時には「良い物件が見つかった」と満足したが、「なるほど、こういうことか…」と合点がいった。

 ヤドカリ(賃貸)どうし、いろいろ制約はあるが、部屋はそれぞれが居心地の良い空間であるべきだ。多少の生活音は、お互いの自由度を担保するためにも、ある程度は仕方ない。そう自分に言い聞かせながら3か月が過ぎた。しかし深夜0時を過ぎてから洗濯機を使い始めたり、深夜1時を過ぎても一向に階下への配慮が感じられない。さすがにこちらの堪忍袋の緒も切れた。アパートの管理会社を通じて注意してもらった。

 そんな経緯があった後の”深夜のまめまめしさ”である。インターネットで「トラブル 騒音」で検索し、いくつか選択肢を検討した。「直接、騒音源の人と関わらない方がよい。管理会社を通して注意する」という常識的なアドバイスに混じり、「(改善は無理だから諦めて)引っ越しをする」とか、「騒音源に対して仕返しをする」等の極端なアドバイスもあった。ネットでの解決策を諦め、再び解決法を思い巡らせた。

 深夜1時が過ぎた。上階では相変わらず呑気に”深夜ライフ”をエンジョイしているようだ。しばらく考えあぐねていたが、「よし、関西弁で行こう」と腹が決まった。以前、上司が関西弁をたくみに駆使して会議の場でズバズバ意見を通しているという評判を思い出していた。

 「ほんま、ええ加減にせえよ…」普段、なるべく音を出さないように生活しているため、いきなり声を出そうと思ってもなかなか出てこない。とりあえず発声のウォーミングアップも兼ねて、関西弁の練習を独り言ち始めた。「ほんま、うるさいねん(ボケっ)」、「なんやねん(あんた)」、「めっちゃ、うるさいねん」、「ほんま、ええ加減にしいや」、「この上、どないなっとんねん」etc、そんなこちらの苦悶をよそに相変わらず上階の生活音は止んでいない。それに気づいた時、ようやく声に勢いがついた。天井に向かって叫んでいた。「うっさいわー!何時や思ってんねん!(怒)」たぶん相当迫力があったのだろう。音はピタッと止んだ。

 翌日から上階の洗濯時間は朝の7時30分に早まり、夜は0時には静けさが訪れた。今のところ郵便ボックス等に”嫌がらせ”もされていない。しかし落ち着いたら落ち着いたで、

『ちょっとビビらせ過ぎたかな?』『モノ言う隣人(私)に怯えて、神経を病んでないかな??』『これを機に関西人に対して偏ったイメージを持たないかな???』と気が重い。。

 あれから数日が経つ。日中、上階からは音楽に酔いしれた歌声が聞こえて来る。とりあえず「精神的に強い」隣人でホッとした。耳栓やイヤホンをつけるくらい、こちらも喜んで協力しよう。彼の不在(合宿や帰省など)中、住環境は天国なのだから。