のんびり寄り道人生

何とかなるでしょ。のんびり生きましょう

12月の沖縄旅行

 避寒と休養のため沖縄に行って来た。出不精で居住地くらいしか知らない老親と、毎日ゲームばっかりやってるらしい甥っ子を、たまには大自然に触れさせようと思い立った。老人・子供を中心にした”接待旅行”の使い走りになることが目に見えていたので、先に現地入りし、まずは那覇市内で一人のんびり過ごすことにした。

 事前の調べで楽しみにしていた牛肉のステーキも安くて美味しかったが、たまたま入ったA&W沖縄(アメリカ発のファストフードレストラン。国内店舗は沖縄のみ)のハンバーガー、ポテト、チキンが感動的に美味しく、店舗を見かけるたびに足が向いてしまった。

www.awok.co.jp

 沖縄県立博物館・美術館では時間を気にすることなく、まったり過ごした。学芸員さんの案内で、ざっくり要点を把握した。それから音声ガイドを聞きながら丁寧に展示をたどった。あっという間に閉館時間となった。

youtu.be

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 連日メディアで報道されている辺野古への米軍基地移設問題にも関わる自治体として、かねてより気になっていた普天間宜野湾市)に足を運んでみた。

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バス停「普天間市場入口」付近(宜野湾市

 道中やや渋滞していたようで、那覇市内から路線バスで40分程かかった。車窓から普天間飛行場の、そびえたつ外壁や警告表示板が見えた。少し緊張気味にバス停「普天間市場入口※」に降り立った。間もなくジェット戦闘機3機の轟音が頭上をかすめた。飛行スピードが速く短時間で消音したせいか、想像していた程うるさいとは感じなかった。(感覚的には、近くの国道を暴走するトラックの方がよほど気になった。)だが、10分も経たないうちに次々と飛来する機体を見上げてみると、落下事故などの危険性がよぎって、やはり怖い。。チラリとすれ違う人々の表情を伺ったが、何事もない表情で淡々と歩いていた。

※現在、普天間市場はなく、かなり小規模なグリーンベル商店街が近くにある。

 

 真冬から初夏にタイムワープした身体の適応力は素晴らしい。何ヵ月ぶりだろう?まぶしい陽光に照らされ、じんわり汗がにじんでくる。タオルで汗を拭いながら、あてもなく周辺を散策した。あまり観光客が来ない地域だから、小さなカメラ片手にうろつく私は不審者そのものだったかもしれない。じろじろ見られて不快な思いをすることもあったが、一人のおばあさんが上品な笑顔で挨拶してくれたのは嬉しかった。中には、恥ずかしそうに(恐る恐る?)話しかけてくるおじいさんや、道案内を買って出てくれる女子高生もいて、思いがけなく地元の方々と交流できた。

 沖縄本島ではなく離島で生まれ育ったという、ある年配の女性に「(何もないところなのに)何をしに来られたのですか?」と聞かれた。もっともな質問だ。本音を言えば、観光地やリゾート地だけを巡って本土に戻ることに、ちょっとした”後ろめたさ”を感じたから寄ってみた、というところだ。だが、あまりに露骨な物言いも失礼な気がしたので、ちょっと優等生的に答えた。「基地問題などで揺れている沖縄のために、私自身、何かできるわけでもないのですが、ただ来てみました。メディアを通してではなく、自分の感覚で確かめたいと思いました」。「基地問題」というセンシティブなワードを使ったので、彼女の反応が気になった。女性は「すごいですね」と感心してくれた。こちらが恐縮しながら会話を続けたところ、彼女の言葉の真意が分かった気がした。

 本土に暮らす人が「基地問題」に関心を持って、この地まで来たことが「すごい」ことなのではなかった。外の世界を知らない彼女にとって、自由気ままに単独で動ける私の行動力が「すごい」ことであり、それを可能にする「お金や時間」を持っている私は「恵まれた人」に写ったのだろう。控えめな彼女の言葉からは「自分が今後どこかに旅行するなんて夢のまた夢・・・」という溜息混じりの諦念を感じた。メディアの影響を受けすぎたせいで「沖縄」=「基地問題」という”先入観”が邪魔になっていたようだ。自らの思い込みを反省した。

 

 調べてみると、沖縄県貧困率は2012年現在34.8%(全国平均18.3%)、ワーキングプア率は2012年現在25.9%(全国平均9.7%)と突出して高い(※1)。また平成27年度の調査(※2)によると、子どもの相対的貧困率29.9%であり、約3割の子どもが貧困層に入っている。

※1:戸室健作(2016年3月)『都道府県別の貧困率、ワーキングプア率、子どもの貧困率、捕捉率の検討

※2:平成27年度沖縄県子どもの貧困実態調査(小中学生等)について平成28年3月25日、平成28年1月29日公表)より

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平成27年沖縄県子どもの貧困実態調査(小中学生等)について(平成28年3月25日、平成28年1月29日公表)

www.okinawatimes.co.jp

 しかも沖縄県出生率は43年連続「全国1位」で、離婚率も14年連続「全国1位」だという。これらの統計値が意味することは極めてシンプルだ。沖縄は日本全国で最も貧しく、貧困の連鎖は今後も続く可能性が高い、ということだ。

 実は、沖縄滞在中に気になっていたことがある。何人かの親が乳幼児を手荒く引っぱたいている光景を目にした。驚きのあまり動けなかった。ある父親は離乳食をこぼした赤ちゃんの頬をバシッと叩きながら大声で喚いていた。明らかにしつけのレベルを超えていた。赤ちゃんは驚いたまま泣くことすら許されず、父親が押し込むスプーンによって口を開けさせられていた。周囲の人たちの反応も見てみたが、誰も彼をたしなめたり、見咎めたりする様子はなかった。短絡的過ぎるかもしれないが、貧困と結びついた暴力の”えげつなさ”を垣間見た気がして、ズキンズキンと胸が痛んだ。。。

diamond.jp

 沖縄に暮らす貧困層の人たちにとって「米軍の基地問題」を巡る賛成派と反対派のせめぎあいは、頭上で飛び交っているジェット戦闘機のようなものなのかもしれない。もはや日常と化した”異常事態”の中にあっても、ただ淡々と生きるために働き、余裕のない生活、希望のない人生を送るほかない。。。このまま放置してよいはずがない。

 使うべきところに、お金(国家予算)が使われない。不思議なくらい使われない。連日、公的な予算の無駄遣いについて報道されているが、当局である財務省と麻生大臣がアレでは目もあてられない。体たらくな安倍政権及びその支持者(忖度メディア・職務放棄官僚・政治に無関心な国民なども含む)による国家予算の浪費に、心底怒りが収まらない。

www.itmedia.co.jp

 以下は9年程前に社会派ブロガーのChikirinさんによって書かれた良質な記事だ。残念ながら、どれほど沖縄の問題が今もなお置き去りにされているのかをよく表している。。

chikirin.hatenablog.com