のんびり寄り道人生

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THE PRIDE

 ASKAの約5年ぶりとなる全国ツアー「billboard classics ASKA PREMIUM SYMPHONIC CONCERT 2018 -THE PRIDE-」に行ってきた。

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(以下の動画は2009年2月25日にリリースされた「ASKA SYMPHONIC CONCERT TOUR 2008 "SCENE"」より)

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 実は、大きな会場でのライブコンサートはあまり好きではない。これまで好きなアーティストがコンサートツアーを演ると聞いても、ライブ会場にまで足を運ぶ気になれなかった。身も蓋もない話だが、ライブ会場の設備によって、あるいは指定された座席位置によって音響レベルが決まってしまうので、チケット代によってランク付けされた座席に座って1回限り<聴く・観る>チケット代と、好きな時に繰り返し<聴く・観る>ことができる量産品のDVDやCD代を比較すると、ドケチな私にとって大きなライブ会場でのチケット代はコストパフォーマンスが悪すぎる。

 もちろんライブ音源そのものは大好きだ。小さなライブ会場だと、物理的に音源と距離が近くなる分、全身で音楽を感じたり、スタンディングで気軽に身体を揺らしたり、音楽そのものを丸ごと楽しめる。またDVD化されたライブ音源もベストアングル・ベスト音源を自宅に居ながらリラックスして楽しめる(たぶん複数回のツアーのうちライブ会場や機材など最良のものが選択されていると思われる)。

 何より大きな会場のデメリットは、音楽を聴くために最適な設計とメンテナンスがなされ、最新の音響設備がそろっていたとしても、たまたま居合わせた自席周辺の観客の反応や鑑賞マナーによっては、どんなにアーティストのパフォーマンスが良くても、感動に酔いしれる程には愉しめない(小さな会場だと演奏音が周囲の雑音を圧倒してくれる)。まぁ、”芸術”を味わう態度としては全くもって無粋だと自覚しているのだが、一つ思い当たる節がある。

 10代の頃、初めて行ったライブは当時世界中の女子たちをときめかせたブロスのコンサートだった。

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 同時期にハマっていた成田美名子の名作コミック「CIPHERサイファ)」の美しき主人公たちに重ねながら、彼らのプロモーションビデオにウットリしていた。雑誌に彼らのインタビュー記事が掲載されると何でも読み漁った。彼らがCMに起用されたYAMAHAのスクーターを買い、地元のバイク屋さんに頼んで宣伝用ポスターも手に入れた。そんな完全な”虜”状態で夢見心地のまま、初めてのライブ会場に足を運んだ。

 だが、いくら開演時間になっても、なかなか演奏は始まらなかった。交通渋滞等で、まだ会場に到着していないのだろうか?あるいは機材のトラブルでもあったのだろうか?演奏開始が遅れている理由について場内アナウンスもない。熱狂的な女性ファンは今か今かと焦らされた。そして1時間近く遅れて登場した彼らの姿を見て、悲鳴のような熱狂が会場にこだました。

 だが、ようやくライブが始まったものの、高まっていく想いとはうらはらに「ん?」と耳を疑う瞬間が度々あった。何度も繰り返し見ていたMTVのプロモーションビデオと違う…。ベテラン歌手がよくやる歌い方を変える”演出”ではない。。。あぁ、そうか、ボーカルの声が全然出ていないんだ。。。遅れてスタートしたライブは定刻どおりに終わり、何だかスッキリしない気持ちでライブ会場をあとにした。

 今となっては『多忙なスケジュールで体調が万全でなかったのかもしれない』と彼らを思いやれる余裕もあるが、当時の私はすっかり興醒めてしまった。「ライブは、わざわざ行くものじゃないな…」と刷り込まれてしまった。

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 そんな私が、あえてASKAのライブに赴いたのはカンパ目的である。✨💰✨に余裕があるわけではないが、純粋に彼を応援したいと思った。「もっといい曲を作ってね」という我欲もある。だが、ある程度は予想していたが、還暦を過ぎたASKAの体力面での老化は、やはり否めなかった。彼のようなブランク期間がない、現役の歌手だとしても十年以上前のヒット曲を当時のままに再現する方が奇跡に近い。最盛時のヒット曲を、全身で声を絞り出すように歌う姿は、痛々しくもあり、神々しくもあった。CHAGE and ASKA時代の名曲「PRIDE」の歌詞を体現している姿に心を揺さぶられた。

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 所属事務所やレーベルが変わったことによる”大人の事情”に加え、過去のヒット曲を歌って欲しいというファンの需要もあるのだろう。既に2枚のRemix版、2枚のBest版が発売された。(「今宵限り」と固く締めたはずの財布の紐はコンサート会場で、すっかり緩んでしまった…)

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 大きなライブ会場で熱気に満ちた群衆に混じって、拳を天に突き上げながら、CHAGE and ASKA時代の大ヒット曲「YAH YAH YAH」を一緒に歌った。多少の気恥ずかしさを覚えながら「今後しばらくは今のASKAから生まれた曲を聴こう」。そう心に決めた。

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