のんびり寄り道人生

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年上の義務

 山田玲司著『年上の義務』を読んだ。

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年上の義務 山田玲司 | 光文社新書 | 光文社

目次
第1章 「バカにされる」年長者
第2章 若者は「劣化」しているのか?
第3章 愚痴らない
第4章 威張らない
第5章 ご機嫌でいる
第6章 「年上の義務」をめぐるQ&A集
第7章 「イノベーション幻想」の終わり
第8章 「年上の努力」がすべてを変える

 本書の内容は、この目次をさっと読めば、まぁ分かる人には(本文を読まなくても)分かるだろう。本書はこれらの”マナー”がちゃんと身に付いている人に向けて書かれたのではない。『年長者は敬われて当然』と信じて疑わない”おじ(い)さん”たち、”おば(あ)さん”たちが読者ターゲットである。ちなみに本書の表紙は漫画家である著者のイラストと思われるが、本文にイラストは一切出てこない。老婆心ながらメインターゲット層が”年上”なら、この表紙はないよな…と思うのだが、”年長者”によって幻滅させられた体験を持つ若者が、インパクトのある表紙に目が留まり本書を手に取るかもしれない。そして若者の気持ちを代弁してくれる”頼もしい大人(著者)”の主張に、「そうだ!そうだ!」と同調していたら、ちょっとした”憂さ晴らし”にもなる。同時に、やがて彼らにも課されることになる”大人の義務”を”予習”することにもなる。何という好循環!?なかなかよく出来た企画だ。

 本書で批判の対象となる”Windows95おじさん”、”オフライン老人”など、著者が使うユーモラスでユニークなネーミング、分かりやすい例え話は、著者が若いアシスタントたちと仲睦まじく過ごしている中で生まれるのだろう。『こんな人いる、いる』と他人事のように笑って読んでいたら、次のページには『えっ?これって私のこと…?』と胸に刺さるような具体的なエピソードが痛烈に批判されていた。。もちろん悪意や悪気はないのだが、時に我が過ぎてしまい、年長者にありがちな”マナー違反”をやらかしてしまう。。反応に困って狼狽している若者たちの姿を見て初めて自らの”過ち”に気づくこともしばしばだ。。

 それにしても山田氏は”熱い大人”だな。山田氏の著作を読むのは今回が初めてなのだが、全ページに渡って熱い想いが明快な筆致でほとばしっている。多少”説教臭さ”はあるものの、文庫本の薄い一冊なので通勤途中の合間に、ぐいぐい読み進めることができた。

 誰もが立場によって「年上」であったり、「年下」であったりするわけだが、本書をどの立場で読むのか?それによって”共感”の度合いも相当変わってくるかもしれない。年下の立場で読めば、「よくぞ言ってくれた!」と喝采を送りたい気持ちになるだろうし、年上の立場で読めば「まぁ、著者の主張は分かるけど、いざ実践するのはなかなか大変そうだな…」とか、あるいは両方の立場を行ったり来たりしながら「どちらの言い分も分かるだけに、結局自分はどうすればいいのか余計わからなくなった…」など感想も様々だろう。がっつり中年となった私の場合、主には年上の立場で読む事が多かった。頭では分かっているつもりでも実践が追いついていないので、本書を読みながら幾度も忸怩たる思い出が蘇ってきた。。著者の意見・主張には全面的に賛同している。(偶然に近い選定だったが)本書を手に取ったのも良い機会だった。改めて”年上の義務”について実践しようと決意を固めた。(以下、同書より一部引用)

 本書で繰り返してきたわずか3つ(※引用者注:上記目次参照)を実践するだけで、確実に周囲の人間関係は好転し、やがては自分の人生も変わり始めるだろう。

 そして何より、「年下の人たち」は、本当はこう思っている。

 どうか「尊敬」させてくれ、と。

「あなたみたいになりたい」って、思わせてくれ、と。

そんな愛しい後輩たちの思いを、裏切ってはいけない。

難しいことじゃない。

ただ、楽しそうに生きている姿を見せればいいだけだ。

年を重ねても楽しく生きている人がいるだけで、年下の人たちは救われるのだ。

そして、いつも僕は、「そんな先輩たち」に救われてきたのだ。

今度は「僕達の番」なのだ。