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漢詩・涼州の詞

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 絶え間ない威嚇はいったいいつまで続くのだろうか?北朝鮮によるミサイル発射報道などを受け、”武力行使”や”経済制裁”など、穏やかでない言葉が様々なメディアで飛び交っている。「繰り返される歴史から学べないのは人類の性なのか…」何とも虚しい気分になる。こんな時は昔、学校で習った唐の政治家、詩人・王翰(おうかん)による漢詩涼州の詞を思い出す。戦地の最前線に立つ兵士の刹那的な心情を謳った、心に沁みる一編だ。

関西吟詩文化協会 漢詩紹介<中国の漢詩>※以下、同サイトより一部引用

涼州の詞 <王翰>
葡萄の美酒 夜光の杯
飲まんと欲して琵琶 馬上に催す
酔うて沙場に臥す 君笑う莫れ
古来征戦 幾人か回る

詩の意味

 涼州の地に駐屯した出征兵士にとっては、名物の葡萄のうま酒を、月の光に照らされる杯で飲むのがもっとも趣きがある。今、それを飲もうとすれば、馬上でかき鳴らす琵琶の調べが酒杯を促すようである。
 今、戦(いくさ)に出ようとするこの砂漠に酔い臥すことがあっても、人々よ笑わないでほしい。昔から遠く西域への戦にかり出された人たちの中で、幾人が無事に故郷に帰ることができただろうか。

鑑賞
 初唐七言絶句の第一と評される悲壮な詩
 西北の国境へ行って守備をする兵士の胸のうち、「明日は死ぬかも知れない身であり、せめてつかの間のなぐさめだ。飲んだり歌ったりの酔態は、許してやって、どうぞ笑わないでほしい」と、国の役人である作者が同情しているのです。 

作者:王翰 687-726 初唐から盛唐の政治家・詩人
 山西省太原?の人。幼少時代から優れた才能の持ち主であったが、それにうぬぼれて、酒を好み馬を飼い、女性や楽士を集めて宴会や狩猟にふけった。24歳で進士に及第し順調に出世していたが行動に問題が多く、その後南方に左遷され、その地で死んだ。詩人としては名声を得、特に国境地帯の兵士を歌った辺塞詩に特色がある。享年40歳。

  エリート人生から転落していった作者自身、大の酒好きで身を持ち崩したようだが、背景にはそれなりの心的葛藤があったのかもしれない。本作は”出征兵士”の心情を謳ったものとされているが、やはり作者自身の”やるせなさ”が投影されているように感じる。時の政権(上層部)が”戦”に向かってまっしぐらの中、最前線で命を投げ出さざるをえない一兵卒の諦めと虚しさが心に重く響く。

 現代の戦争において先進諸国の戦略として、もはや兵士同士が対峙して戦うような非効率な形態はあまりとらないようだ。「対テロ戦争」の”正義”を掲げたスローガンの下、最新テクノロジーを駆使した種々の兵器が開発されており、また諜報プログラム、監視システムが世界中で張り巡らされていることも内部告発等によって明らかになってきた。いわゆる情報戦の様相を呈しており、ロビイストが暗躍する心理戦がベースにある。それに加え、一部の核保有国による核戦争が冷戦終結後、再び現実味を帯びて語られ始めた。

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 無意味な”戦”によって亡くなるのは、兵士や戦士だけではない。戦争に反対しようがしまいが、一般市民もまたその犠牲になりうる。

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 果たして今を生きる現代人は”凄惨な未来”を回避できるのだろうか?気候変動や自然現象による大災害なら”諦め”もつくが、負の歴史から学ばない”幼稚なリーダーたち”の好戦的で、軽々しい言動に触れるにつけ、自棄酒をあおりたくなる。。

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