のんびり寄り道人生

何とかなるでしょ。のんびり生きましょう

安冨歩教授の名講義

 何か事件報道により世間が騒然としている時は、マスメディアのワイドショー的な盛り上がりが一時的にあったとしても、なかなか事件の核心は見えてこない。(関係者が口をつぐみ、都合の悪いことが隠されるからだろうか?あるいは情報が整理されておらず、全体がまとまらないのだろうか?)事件の全貌に迫るような、意味のある調査報道が表に出てくるまで、こちらはじっくり待つほかない。だから腑に落ちないことについては(大事件であればある程)世間がクールダウンした頃を見計らって定点観測的に改めて調べることにしている。すると予想どおり、たいがいのことは志ある学者、弁護士、ジャーナリストらによって、その後も”追跡”は続いているものだ。

 2002年に刺殺された故・石井紘基(いしいこうき)議員を巡る”闇”も引っかかっている事件の一つだ。インターネット検索で石井議員を巡る続報をチェックしている中で、安冨歩(やすとみあゆみ)東大教授の名講義※に出会った。

 

www.youtube.com※ちなみに本講義を中継しているのはジャーナリスト岩上安身(いわかみやすみ)氏が率いるIWJ Independent Web Journal。岩上氏の舌鋒鋭い追及は時に過激であるものの権力に物怖じせず立ち向かう姿はジャーナリストの原点である。様々なテーマを追いかけながら情報の渦に飲まれず、よく寄付だけで続けていられるなぁと尊敬する。またIWJは市井の人たち(市民ジャーナリスト)の協力のもと、幅広い分野のLive中継が特長で、独立系メディアとして存在感がある。

 

 講義の冒頭、安冨教授は「じゃ、授業を始めますが、(聴講者が100人くらいいたのが)どんどん減って、とうとう4人になってしまいました(笑)」と、授業をするひき合いがなくなってきたことをこぼした。そこで「もったいないので」ネット中継を行うに至ったことを付け加えた。一応、大学にはネット中継について許可を求めたらしいのだが、うやむやな回答しかなかったらしく、”特別ゲスト”を招いた、この日の講義もゲリラ的にネット中継を行ったようだ。

 若い東大生たちに石井議員のことを聞いても誰一人知らなかったが、石井議員が追及した特別会計の”闇”について、経済学の基礎知識と絡ませながら講義が進むにつれ、教室内の空気は一変して行った。学生たちの集中がこちらにも伝わってくる。遅刻して加わった1人を含む5人の学生たちと、安冨教授が交わす質疑応答は、「マイケル・サンデル ハーバード白熱教室@東京大学」以上の見応えであった。

 

 俄然、安冨教授の講義に興味を覚え、彼の様々な活動をインターネット検索で垣間見た。どの動画やWEB記事においても、その緩い雰囲気と砕けた語り口の中に、しっかりした主張と明晰な論理があって実に小気味良かった。2年程で辞めた(逃げだした)そうだが、元・銀行員(社会経験がある)というだけあってストライクゾーンがとにかく広い。

 

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 さらに調べてみると、2012年に出版された『原発危機と「東大話法」〜傍観者の論理・欺瞞の言語〜』 という著書で使った”東大話法”というキーワードが彼を一躍有名にしたようだが、それにしても様々な専門外(?)の分野にも顔を出しているようだ。単なる”お調子者”なのか?理想社会を求めて”世直し”に奔走する”行動する経済学者”なのか?よく分からないのがまた面白い。

 

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  安冨教授が、その死後に崇拝するようになったというマイケル・ジャクソンのことを「メシア」だとする言説および、その「復活説」にはびっくり仰天したが、日本では時にイロモノ的に扱われるマイケルの音楽を愛する一人として、「確かに。ある意味そうかも」と妙に納得してしまった(たぶん私が元々マイケルの信者だから、コロッとやられているのだろう。常識人にはありえない胡散臭い話だと思う)。

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 ちなみに安冨教授はトランスジェンダー(パートナーは女性)らしい。マツコ・デラックスに通じる”正直さ(=自分に嘘がつけない性格)”に、とても好感が持てる。個人的には男性と女性を合わせ持った中性的な人が好きなので、このような”ちょっと変わった男性”は魅力的だと思う。人口比で考えると、さらに方々からカミングアウトが進んでもよいはずだが、やはり社会的な圧力がまだまだあるのかな?こうして一人、二人、”お堅い”職業の中からも風穴を空ける先人が増えていけば、誰もがありのままに生きられる、生きやすい社会になるんじゃないかな~と期待を込めて思っている。

 

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“女性装の大学教授”安冨歩、独自の人生観とは | ORICON NEWS

 

2017.3.6追記

日本の女性は男性よりもシステムに組み込まれずに生きることが容易なのです。それゆえ、自分自身の感受性を守り、何が好きで、何が嫌いか、を判定する能力を保持している人が多いと私は感じています。

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