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のんびり寄り道人生

何とかなるでしょ。のんびり生きましょう

BS世界のドキュメンタリー「捨てられる養子たち」

 BS世界のドキュメンタリー「捨てられる養子たち」(2016年フランスBABELDOCproduction制作)を観た。

youtu.be

 アメリカで「使い捨ての子供たち(DISPOSAL CHILDREN)」と呼ばれている養子「再」縁組の問題点を浮き彫りにした衝撃的な内容だ。番組冒頭、養子再縁組プログラムの一つ、養子となる子供たちのファッション・ショーが紹介される。彼らの中には未来の養親に向けて熱心に自己アピールを続ける者もいるが、彼らを眺める養親側との意識差は大きい。

 カタログの中から幼い男の子を探していた40歳の独身女性:

「本当は0歳から6歳くらいまでの子供を探していたんですけど、希望していたよりも大きい子たちが多いようですね。このイベントはまるで見本市みたいだし、子供たちは商品みたい。未来の母親の一人として、この光景はあまり気持ちよくはありません」

 (意に反して?)養親候補となってしまった独身男性:

「縁があればいいけれど、ダメなら白紙に戻せばいいだけ。大したリスクはありません」

※彼はこの後、ある男の子を養子として迎え入れたものの、半年後には「相性が悪かった」と児童養護施設に彼を戻した。

 

 国際色豊かな家庭を築くセレブたちの影響なのか、肌色の異なるファッションモデルの洒落た広告に触発されたのか、世界中から集められた”捨て子たち”を育てることの難しさ※を覚悟せぬまま、あるいはそのことを安易に考えたまま養子を受け入れた結果、一部の養親たちは自らの家庭崩壊を防ごうと、いとも簡単に養子を手放す動きに出ていた。

※胎児のアルコール被ばく、貧困、虐待など特殊な環境で育った子供たちは情緒が不安定であったり、暴力的だったり、人を信じることができないことが多いとされる。

 「この子には新しい家族が必要です。拡散希望!」インターネット上には仲介業者による子供の顔写真付き広告があふれている。それは”中古の子供マーケット”と呼ばれ、1日平均3人の子供たちが掲載され、実親に捨てられた子供の1/4が、引きとられた養親に再び捨てられているという。

 養子再縁組の仲介業者によって新しい養親の身元確認がしっかり行われるわけでもない。弁護士を介した書類上の変更手続きだけで、養子再縁組は完結する。ある仲介業者の手数料は約37万円であった。つまり約37万円+αで子供が買えるということだ。

 なぜ、このような”人身売買”が先進国アメリカで野放し状態でまかり通っているのか?公的な正規の養親変更手続きに時間や費用が多大にかかる上、民間団体による養子再縁組のための顔写真付き広告を規制する法律がない(監督官庁すらない)ことで、一部の心無い養親たちが安易な手段に流れているのだという。そんな無法地帯を変えようと、(養親から性被害を受けた少女を含む)志のある人たちが司法に訴え出たことで、番組は希望的なエンディングを迎えるわけだが、”中古の子供マーケット”がなくなったわけではない。今でもインターネットで「re-adoption America(再縁組 アメリカ)」で検索すると、相変わらず”その広告”はあふれている。

 

 

 翻って、日本はどうか?日本の養子縁組制度についても、いろいろ調べてみた。日本の場合、自治体の児童相談所児童福祉施設等が里親を、(定型的な基準ではあるようだけど)かなり厳選しているようだし、また里親になるためには自治体の定める里親研修を受ける必要があるので、アメリカのような露骨なインターネット広告の氾濫はなさそうだ。だが、子供たちを取り巻く実情はさほど変わらない気がする。里親の手に余った子供たちは再び児童福祉施設に戻されるのだ。現在、所轄官庁である厚労省児童養護施設より小規模な施設(グループホーム等)や家庭における養育政策を推進しており、里親制度の改正により養子縁組(いわゆる戸籍変更)を伴わない「養育里親※」も制度化され、里親登録の増数を目指している。

※子供の生活費、教育費、医療費、里親手当等が支給される

www.mhlw.go.jp

 ただし日本特有(?)の問題もある。法律上、実親の親権が強いため、裁判所命令でも出ない限り、いくら里親の希望者が手を挙げたとしても(あるいは子供が里親を希望したとしても)、実親の同意を得られなければ里親に子供が預けられることはないそうだ。(虐待や育児放棄を行うなど、いくら親として問題があるにせよ)実親の立場からすると、「里親に子供を取られるくらいなら、いつまでも児童福祉施設に預けておきたい」という心理が働くらしい。。厚労省の統計(平成25年度)によると登録里親数8,726世帯に対し、実際に委託されている里親数は3,292世帯に過ぎない(厚生労働省 社会的養護の現状についてより)。

 

 

 大震災後の遺児たち、連日のように報道される虐待死した子供たちなどのことを想うと、微力ながら彼らを救えるかもしれない大人の一人として、何とかならないものだろうか?といろいろと考えてはみるものの、なかなか”覚悟”が決まらない。

 

 ベタな話だが、アフリカのガリガリに痩せた子供たちの写真を見て、子供の頃かなりショックを受けた記憶がある。あまりボランティア精神はない人間だが、気休め程度の自己満足のため、途上国の子供を支援する寄付活動は今でも続けている。

www.plan-international.jp