湯治の宿で
加齢に伴う?諸症状が現れては消えるようになった。気のせいのような気もするが、違和感は忘れた頃にまた現れる。まるでオカルト現象だ。「いつ、どんな場面で」「どこが」「どのように」痛むのかを明確に言語化できない。たぶん病院に行っても医師の前で症状をしっかり説明できなければ「ストレスがたまっているのでしょう。ゆっくり休んでください」と言われるのがオチだと思い、しばらく様子を見ていた。だが、寝返りをうつ時や、椅子から立ち上がる時、階段を降りる時、太腿に激痛が走るようになってきた。さすがにこれはおかしいと判断し、近くの整形外科を受診した。
太り過ぎと運動不足が原因だろうとアタリをつけていたが、レントゲンを見ながら医師は「変形性関節症ですね、舛添さんが湯河原治療の理由にしてましたよ」と朗らかに笑った。
「嬉しくない…」とボソッと呟くと、傍に立っていた看護師が「嬉しくないですよねえ」と温かく同調してくれた。淡々と話す医師の説明を聴きながら、ただ痩せて筋トレをすればいいレベルではないことが分かり、今後の行く末を案じた。とりあえず今できる対処療法を医師から聞き出そうと熱心に質問したところ、元来おしゃべりな先生なのか、何かが医師の”ツボ”にハマったのか、自慢話も含め学生時代の思い出話など、”非”参考情報をたっぷり聞かせてくれた。医師の話はとても面白かったが、こちらが聞きたいことは自分でインターネットで調べることにした。。
ちょうど仕事が山場を過ぎたこともあって、急遽、プチ断食を兼ねた湯治のため1週間程度休暇をとって温泉に行くことにした。今からの予約は難しいかなと思っていた5つのこだわり条件が全て揃った宿も見つかった。
- 源泉かけ流しの湯
- 24時間湯に入れる
- 部屋は個室
- 交通費、宿泊料の合計が最安
- (写真で見る限り)清潔な宿
平日ということもあって宿は空いていた。ほぼ毎日露天風呂を独占した。修行僧のように空腹に耐えながら、1~2時間×3回湯船に浸かったが、そう簡単に関節の痛みが取れるはずもない。。とりあえず持ち込んだ仕事をしたり、読書をしたり、テレビを見たりして気を紛らした。
そんな中、感激する出来事があった。音楽ストリーミングサービス『Spotify』(スポティファイ)の日本版だ。
1か月以上前に申し込み、ようやく招待コードが送られてきた。早速インターネットで視聴してみると、期待していた以上に自分好みの楽曲が揃っていた。しかも歌詞まで付いている!
病院で処方された消炎剤はあまり効いた気がしなかったが、のんびり湯に浸かり、大好きな音楽を堪能したせいか、ようやく”長期戦”に臨む覚悟ができてきた。