のんびり寄り道人生

何とかなるでしょ。のんびり生きましょう

退化してしまった生存に必要な求愛行動のためのスキル

 先日観た映画の感動に突き動かされイングリッド・バーグマンのことをインターネットでいろいろ調べて、その美しさについて思いを巡らせていたら、女優メリル・ストリープが2010年5月コロンビア大学の卒業式で行った名スピーチを思い出した。時間のある方は、ぜひ動画で見ていただきたい。”女の演技”が社会に及ぼす好影響について彼女の卓見が、ユーモアたっぷりに述べられている。

logmi.jp

 彼女が研究した”男受け”のよい女性像は、どの集団にも必ず信奉者実践者がいる。女性にとっては、こういう当たり前の事実も、男性にとっては(ブス)女の”やっかみ”だろうと一蹴されるかもしれない。だが、この希代の名女優の体験談(+考察+提言)を聞けば、単なる”ぶりっこ”批判ではなく、ましてや自慢話でもないことがすぐに分かるだろう。

 彼女の”ぶっちゃけ話”は面白おかしく語られているが、先進国であるはずの米国社会においてでさえ、まだ歴然と性差別が残っていることを物語っている。(完全な平等など絵空事かもしれないが、)彼女は、今後男女が共同して生きていく理想的な社会を築いていくために、学生たち(とりわけ女子学生たち)を勇気づけているように思えた。

 ちなみに私も若かりし頃に同じような”知恵”を上司から授けられたことがある。だが自分の信条を変えるまでにはいたらなかった。「演技する」ことは、ありのままの自分を偽ることであり、ありのままでない生き方はよくないことだと原理主義的に信じていたからだ(今は多少丸くなったが基本は変わらない)。ただし、よかれと思ってアドバイスしてくれた上司を慮って口にこそ出さなかったが、「つまり男に媚びろってことですね?」と心の中で苦々しく反発していた。

 男女平等が叫ばれて、たかだか数十年、数百年しか経っていない。性別問題はジェンダー問題として呼び名を変え、差別の解消に向けて、声を上げる人が増えてきた。どの社会においてもマイノリティが声を上げることから全てが始まる。その熱意や意志を受けて、彼らをサポートする人たちがマジョリティの中から現れる。彼らの協同によって、ようやく重い歯車が回り始める。響きは良いが「変革」など、そう簡単に成し遂げられるものではないし、いくら理想に向かうためとはいえ「変革」ばかり続く社会が住みやすいはずがないことくらい、まともな大人なら誰でも知っている。

 先日、大統領候補であるドナルド・トランプメリル・ストリープが扮装して、ずいぶん笑わせてくれた。彼女の”本気度”が伝わってきた。恐らくトランプに反発する著名人はそこそこいるだろうに、こんな大胆なパフォーマンスでNO!を表明した俳優はいなかった(物真似という点では同じ男である男優の方が似せられるだろうと思うのだが、彼らはトランプの当選に懸念を表明することはあっても、彼女ほどのインパクトはなかったように思う)。トランプ人気の急落を見ていると、本人の失言問題や過去の素行の悪さがスクープされていることも支持率に大きく影響しているだろうが、彼女の愛嬌たっぷりの皮肉は結構”効いた”のではないかと推測している。米国民だけでなく、世界中の人々の心理に「ここまで”コケ”にされている男を米国民は大統領に選ぶのか?(まさか選ばないだろう)」という強烈なメタメッセージを発信したのだ。2016年11月8日アメリカ合衆国大統領選挙まで残り1か月を切った。このまま安部総理が居座っていると、日米同盟の建前のもとハワイに続くアメリカ合衆国51番目の州になりかねない”美しい国”ニッポンの未来を読む上で、この重要な選挙の行方は対岸の火事ではないはずだ。

www.elle.co.jp

www.huffingtonpost.jp

 さて、これまで上っ面だけの美人を学校でも職場でも見てきたが、メリル・ストリープ流に言えば、彼女たちは「退化してしまった生存に必要な求愛行動のためのスキル」を身に着けた戦略的な人たちなのだろう。彼女たちの偏った行動(ずっと演じ続けているとしんどいみたいで、見せたい人の前だけで演技をすること)は、基本的に裏表のないことをよしとする私のような人間には共感しづらく、その”大根役者”ぶりを哀れに思っていたが、なるほど腑に落ちた。

産めよ、増えよ、地に満ちよ (創世記9:1-17)

旧約聖書で創造主(神様)も言ってるしね。