のんびり寄り道人生

何とかなるでしょ。のんびり生きましょう

虫のこえ

 残暑が過ぎたのか、夜はかなり寒い。肌触りの良い毛布にくるまって、目を閉じながら”虫のこえ”に耳を澄ます。自然の子守唄を聴きながら眠りに就いているので寝付きが随分良くなった。とりわけ気に入っているのが、エンマコオロギと思われる雅やかな音色だ。

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 詩的なイメージだと”月夜の下で虫たちがひたむきに歌の練習をしている”イメージを想像したいところだが、生き残りをかけた野生生物の世界は、そんなヌルくはない。深夜の草むらではあちらこちらでメスへの求愛行動が盛んなのだ。

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 世間でも誰と誰が不倫してあーだこーだと騒がしいが、どうせ騒ぐなら虫たちに見習って、もう少し”優雅に”やるか、隠れたところでやってほしいものだ(しょうもない”暴き”は百害あって一利なし)。休日は山上で”プチ仙人暮らし”を送っているせいで、ますます世間の興味と話題についていけない。。

 緑豊かな環境に虫はつきものだ。そう頭では分かっていても、これほど虫が自分の生活に入り込んでくるとは…。毎度の事に腹を立ててもしょうがないので、朝、「いってきまーす」と庭に張り巡らされたクモの巣をかき分けながら、仕事に向かう。夜は「ただいまー」と暗がりの中で片手を振り回しながら、クモの巣を振り払って屋内に入る。たまに庭に出て草刈りをすると、あちこち蚊に刺されて大きな脹れ痕が残る。しばらくは急性のかゆみに苛立つが、程なくすると案外あっさりかゆみは引いてくれるし、腫れも治まる。

 ある日の夜、ふとキッチンマットを見ると、大きなカマドコオロギ(俗称?カマドウマ)が鎮座していた。一気に「エイリアン」退治モードに入る。バッタのような10cm程の躯体が50cm程ジャンプしながらキッチンを駆け回る。何とか粘着ローラーで長い足をもぎ取ったものの、裂けた腸の中から10cmを超えて蠢く、サナダムシのような何かが出てきた。。。”お助け万能ロングハンド”と消毒用エタノールIPがあったから急場をしのげたが、いくら害虫でないと分かっていても気持ち悪さは変わらない。”奴ら”はふいに現れるのだが、こちらもその気配にちゃんと気づくことができる。都会暮らしとは異なる感覚野の一部が反応しているのだろう。”第六感”の働きを体感できて何とも不思議だ。

 幼少の頃、牛舎があるような超ド田舎で育てられた経験がある。悪臭漂うボットン便所で巣食っていた巨大グモに怯えながら、コトを済ます技も身につけていたはずだ。柔肌に虫刺されなど日常茶飯事だった。鶏やひよこを追いかけては触ったり、川に入って蛭に血を吸われたり、畑の土で遊んだり、虫を採ったりして、虫に対する”免疫”はあるはずなのだが…。

 自分のペースで住環境を整えられるようになってから家の中でゴキブリすら見かけなくなった。すると虫の姿を見ただけで反射的にゾクッとする。。。『虫よ、庭で暮らせ。屋内に入らない限り、君たちの命は保証される』と、”停戦”を呼びかけているのだが、”敵”は次々入れ替わり、キリがない。。ようやく屋根・外壁工事が終盤を迎え、中古の戸建ても見違えるようになった。とはいえ、虫一匹入る程の隙間は、相変わらずあちこちにあるのだろう。ダンゴムシやゲジゲジなど干からびた死骸を片付けながら、そろそろ”諦め”もついてきた。。。自然との共存って、なかなか難しいな…。